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知っておきたい確定申告のツボ2(住宅ローン減税)

2009/01/27

 次に、〇八年に家を売って、新たに住宅を買った人のケースを考えよう。古い家を売って利益が出るケースと損が出るケースでは対処方法が異なるが、損失が出る場合を取り上げる。バブル期などに高額で購入した家を買い替える例が少なくないとみられるからだ。
 新たに買う家に住宅ローンを組む場合は、一定の条件を満たしていれば、古い家を売った損失(譲渡損失)を使って税金を軽くできる。住宅ローン減税と組み合わせる“合わせ技”もできる。いずれも確定申告の際に、制度を利用する考えがあることをしっかりと伝えよう。
 譲渡損失で税金を安くする仕組みは(1)売った年は、所得金額から譲渡損失金額を差し引いて税金を計算できる(損益通算)(2)なおも譲渡損失金額が残れば翌年以降、最長三年間、所得金額から差し引ける(繰越控除)――という内容。譲渡損失金額を繰越控除で使い切った後に、ローン減税の効果が発生する。
 譲渡損失と住宅ローン減税を組み合わせて使うとどうなるか。サラリーマンの場合の単純化した例で説明しよう。売却損(譲渡損失金額)が二千百万円、〇八年の給与所得金額(給与等の収入金額から給与所得控除額を引いた額)が七百万円、所得税額と翌年の住民税額の合計額が百万円(概略の数値)と仮定し、この状態が〇九年以降も続くとする。
 まず〇八年は給与所得金額がなくなるので、所得税額と翌年の住民税額はゼロになる。譲渡損失金額はなお千四百万円残り、〇九年と一〇年の二年間に七百万円ずつ繰越控除を使って給与所得金額から引くと、〇九年と一〇年も含めて三年間は本来払うべき税金(所得税額と翌年の住民税額を合わせて三年間で三百万円)がゼロになる。
 〇八―一〇年の三年間は所得税額がゼロとなるので、住宅ローン減税は実質的に使えないが、譲渡損失金額がなくなる一一年以降は使えるようになる。このような“合わせ技”でローン減税の適用期間を選ぶなら「十年」より「十五年」の方が得だ。減税の合計額が「十年」は百万円なのに対し、「十五年」は百二十四万円になるからだ。
 注意点もある。第一に、前述の通り「十五年」を選んだ結果、返済が進み、毎年の年末ローン残高が二千万円を下回る年が出てこないか確認が必要だ。第二に、本来十年で返済できる余裕のある人が、減税効果を多くするためにわざわざ借入期間を五年延ばすのは、本末転倒になる可能性がある。その分、金利負担がかさみ、返済総額が増えてしまうからだ。金利水準などによって一概にいえない面はあるものの、返せるなら短期間に返す方がよいだろう。

(2009.01.25 日本経済新聞 朝刊)

住替えで、譲渡損失がある場合の方は参考に!